海の話 第3話(時化の話) [自分のこと]

船での仕事は天候海況に左右されます。波1つない凪の日は楽ですが、荒れた日の航海は緊張の連続で大変です。毎日、テレビや気象図で天候海況を予測して出航しますが、予測が付かないのも自然です。べた凪の海が10分で大時化になることも珍しくありません。こういった場合は前線の通過が原因です。

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良い前線の画像がなかったのでネットから借用しました。ごめんなさい

穏やかな天候から「曇ってきたかな?」と思った瞬間、突然ひんやりした風が吹いてきて雨が降り出します。そこからは風はどんどん強くなり海は白波が立ち、真っ白になります。何度経験しても沖で体験する前線通過は怖かった!昔「白い嵐」という映画がありましたが 嵐が来るときのシーンを見ると思い出します。(あそこまですごかったら生きていませんが・・・・)


 港が近くにあるならすぐ避難しますが、遠出している時は頑張って帰るしかありません。正直怖いのですが同乗者が居る場合はやせ我慢して「大丈夫!大丈夫!」と言いながら顔は引きつっています。
 ほんとにやばいぞ!と思ったときは、沖縄本島北部の港から約40マイルの与論島茶花港までお客さんを乗せて帰っている途中、予想より早く海が荒れだしました。大時化になる前には港に滑り込めるペースで走っていましたが、突然2つあるエンジンの1つが冷却水ポンプの故障で警報が鳴り出しました。焼付を防止する為すぐエンジンを止め、片方のエンジンだけで大時化になった海を何とか港近くまでたどり着きました。しかし最後の難関で海の地形の関係で波が高くなる場所を突破するのにどうしても2機のエンジンパワーが必要で、焼付き覚悟でエンジンをかけ何とか乗り切った経験があります。焼付いて停止しないように祈りながら操船したことは今だに忘れられません。その時はエンジンを焼き付けて数百万円の修理代がかかっても何とか乗客を無事に港まで送り届けなきゃという気持ちだけでした。

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毎日こんな海ならいいのですが・・・。しかし荒れた日があるから、こんな穏やかな海に感動するのでしょうね!自然に対して謙虚であれと師匠からは教えられました。


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